2020年9月9日水曜日

命を守る行動を・・・、で、その後は?



 台風10号は、予想の様には発達せず、まぁ普通の台風と

して通過していった。海水表面温からすると意外な展開だっ

たので、気象庁は悩んでいるだろう。もっと考えようね。


 台風が迫って来たりすると、テレビが「命を守る行動

を・・・」と、やたらに言う。こんな風になったのはいつ頃

からだろう。ごく最近のように思う。せいぜい五年ほど前か

らだろうな。


 「命を守る行動を・・・」

 で、守った命で何をするのだろう?

 “命を守る行動のとり方” を考えるのだろうな。しかし、

生きることって「命を守ること」なの?


 命を守る為に生きて、生きる為に命を守って、守った命を

守る為に生きて、守った命を守る為に生きる為に命を守っ

て・・・・。


 生きるってそういうことなの? でも、どんなにがんばっ

てもいずれは命は終わるんだけどね。命を守ることが生きる

目的なら、最後にはみんな挫折し、敗北するんだけどね。


 「命はどうでもいい」なんて言ってるんじゃない。

 命を大切にするのは、生きているものとしてのたしなみ

だ。生きていることに対する “誠意” と言ってもいい。で

も、「命を守る行動を・・・」という言葉を吐かせるのは、

薄っぺらなヒューマニズムではないだろうか?


 命は「生かすもの」ではなく、「活かす」ものではないだ

ろうか?

 命は「守るもの」ではなく、「尽くすもの」ではないだろ

うか?


 「命を守らなくていい」なんて言ってるんじゃない。

 けれど、「命を守ること」が目的になってしまっては、

“命” に嘲笑われるだろう。「何のために生きてるんだよ」

と。


 誰も、生きている目的なり理由なりを知らない。けれど、

生きているのなら、ひとかけらでも、一瞬でも、この世界に

美しいもの、喜ばしいもの、楽しいものを生みだすように努

めることが、生きる醍醐味のようなものではないか?

 命はその為に、「活かし」「尽くす」ものではないか?


 「とにかく命を守って、とにかく死なないようにする」な

んていうのは、なんだか通帳の数字が減らないようにだけ考

えて生活しているようで、ケチ臭い話だと思う。

 「守銭奴」という言葉があるけど、それと本質的には同じ

だろう。「守命奴」だね(語感がよくないけど)。


 繰り返して言うけど、「命はどうでもいい」とか「命を守

らなくていい」なんて言ってるわけじゃない。「命を大切に

すること」「命を守ること」は、単に「死なないようにす

る」ことではないだろう。

 「生きること」が、単に「死なないようにすること」だな

んて、そんなの “命” に対する冒涜だろう。


 台風のニュースを見る。

 キャスターが「命を守る行動をとって下さい!」と、くど

ど言う。

 私は心の中で毒づく。


 「うるせー、バカ」


 人の生き死にに、一般論や公式見解を持ち込むんじゃねー

よ。

 みんなそれぞれにそれぞれなりの命なんだから。



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