加川 良さんの50年以上前のアルバム『やぁ。』の冒頭の曲
「大晦日」のサビの部分が時折あたまをよぎる。
いつかきっと 船に乗って ボクの昨日を探しあてて
いつかきっと 船に乗って ボクの昨日を住み処とするさ
なぜかこの歌詞が好きだったけれど、今日もふとあたまに浮
かんで来てはたと気付いた。
「昨日」を探しあてると、その「昨日」にも「昨日」がある
わけで、そうやって「昨日」を探し続けると赤ん坊の時に戻
り、さらに母親のおなかの中へ戻り、そして生まれる前に戻
る。
「この歌は、世の中に惑わされ、害される前の自分に戻りた
いという想いを歌っていたんだ。だからずっと心に引っかかっ
ていたんだな」と。
加川 良さんがそこまで意識した上で詞を書いたのではないだ
ろうと思う。けれど、そういう言葉にはなっていない想いから
生まれた歌詞なんだろう。
別に、現状が嫌だから昨日に逃げ帰りたいということではな
くて、誰しもが「何かが違う」という感覚を持ちながら暮らし
ていて、「自分は世の中に迷い出てしまった・・・」と心のど
こかで知っているのだろう。その気持ちを、加川さんは〈昨日
を探しあてて 昨日を住み処とする〉と言葉にした。「何か違う
から、昨日に戻ってみよう」と。
現実には昨日に戻れない。戻ろうとしても〈昨日に戻ろうと
した今日〉が来るだけ。
けれども、今日を生きて、明日を迎えながら、そこに迷い込
まないで、遠い遠い昨日の本来の自分を迷子にさせないように
することは、自分を大切にすることだろう。
と、書いていて「これ詞になるなぁ」と思った。
きょうを生きて
あしたを迎えながら
そこには迷い込まないようにね
遠い遠い 昨日の自分を
迷子にさせないようにね
書きながら加川 良 風のメロディが浮かんだ。
久しぶりに『やぁ。』のレコードを出して聴いてみることに
する。
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