このブログの中で私がカタカナで 「アタマ」 と書く時は、
主に 「エゴ」 や 「思考」 といった意味で使っていますが、突
き詰めて言うと、わたしたちの頭が持つ 「情報処理ソフト」
のことです。『アタマをアンインストール』(2017/10)と
いう回で、独りよがりなお遊びとして前に書きましたが、
「アタマが悪さをする」というのは、このソフトが根本的な
問題を持っていて、常に不具合を犯すことを指しているわけ
ですね。
それにもかかわらず、わたしたちは普通このソフトしか使
った事が無いので、しょっちゅう頭を抱え、腹を立て、泣き
ながらでも、「そういうもんなんだ・・・」と思いながらこ
のソフトを使い続けているわけです。代わりも無いし・・。
このアタマという「情報処理ソフト」の最大の問題は、
「自分は分っている・・」「自分は正しい・・」「自分は知
っている・・・」という前提で情報処理を行うことです。
どのような情報でも、「自分は分っている」「自分は正し
い」という結果に成るように強いバイアスの係った情報処理
をしてしまいます。外界と適切な対応をする為に情報処理を
しているのではなくて、自分に適切な情報になるように、情
報を処理してしまいます。要するに、情報を自分の都合の良
いように処理します。そういう働きをする「情報処理ソフ
ト」なんですね。
そのように、誰も彼もが自分の都合の良いように情報を処
理しているのですから、人と人が対立したり、誤解し合った
り
いですが
できなくなったりするのも当たり前です。
そういうソフトですが、わたしたちは「自分はダメだ!」
とか「自分のせいだ・・・」などと落ち込むこともありま
す。それは一見「自分は正しい」という処理をしていないよ
うに見えますが、それは自身の情報処理方法を疑っていない
から起こることなんですね。だって落ち込む必要はないじゃ
ないですか? 間違ってたのなら、正せばいいだけのことで
す。
落ち込むというのは、単に結果の悪さを問題視しているだ
けであって、「あっ、自分の情報処理方法が間違っていたか
ら、こういう結果を招いたんだ」という情報処理ができてい
ない。
なぜそうなるかといえば、このソフトにとって最も大切な
のは、ソフト自体が「正しい」ことであって、ソフトの導入
されている人間は二の次なのです。ソフトは間違わないこと
にしたいのです。だから大きな問題を起こした時には、結果
だけを情報処理から切り離して、問題の処理を放棄してしま
う。そして、どうしていいか分からなくなって
理を止めてしまって
わたしたちの意識は、アタマというソフトに乗っ取られて
しまっているのです。
何も分かっていないのに「分かった」ふりをし、何が正し
いか知らないのに「正しいこと」を分かっているふりをし、
本質的にはなにも知らないのに「知っている」ふりをす
る・・・。とんでもないものに、自分の思考・生きることを
預けてしまっています。
苦しい事が次々に起ったり、愚かとしか言いようがない事
が世の中でひっきりなしに起ります。
(こういう見方は納得できますか?)
わたしたち(アタマ)は、何も分かっていないのです。
わたしたちは、何が正しいか知らないのです。
わたしたちは、本当に大切なことは何も知らないのです。
「わたしは、本当は何も知らない!」
そう宣言してみます。
すると、すぐにアタマは「いや、そんなことはない。なぜ
なら、□□△△××で・・・」などと、アタマの中で自分の
正当性を語り始めます。大慌てで・・。
でも、それに捕らわれずに、「いや、わたしは何も知らな
い」「知っているふりをしてきただけだ」「何が正しいかな
んて分らない」と宣言し続けます。そうし続けていると、や
がてアタマの声は「しゅん・・」となって、静まって来ま
す。いわば「ばれた・・・」とアタマの方が認識するので
す。
そして、「意識」の主導権がいくらか自分自身の方へ移っ
て来ることになります。
禅の修行なんかでやっていることが、そういうことです
ね。「知ったかぶり」のアタマを黙らせる為に、決まり通り
の生活の中で「個人の都合は認めない」ことを貫いたり、公
案を与えてアタマの “ご都合主義の情報処理” をマヒさせた
り・・・。
「オマエ、何にも分かっていないだろ?」
「オマエ、何にも知っていないだろ?」
と、責め立てる。アタマが泣いて退散するまで。
出家して、禅の道場に入って修行する事は、そういう縁の
ある限られた人でなければできません。でも、普通の暮らし
をしながら、同じような事はできます。
「わたしは、何も知らない」
「わたしは、何も分かっていない」
ことあるごとに、そう宣言し続けます。
そんなことして何になるか?
私は知りません。
たぶん、しあわせになれると思っています。
やってみなくちゃ「分からない」。
(ここに書いたことは私の思い込みかも知れません。
なにせアタマで考えて書いているのですから・・・。
私は知りません。)
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