ーブス主演の。もうだいぶん前の作品になりますが、観た方
も多いでしょう。なかなか面白くて、後の映画にも撮影手法
などで大きな影響を与えた、SFアクションの傑作です。
観た事のない方の為に、内容をザックリ話しますと、
世界は機械に支配されていて、その世界は人間の生体エネ
ルギーによって維持されている。
人間はカプセルの中で眠ったまま生かされ、効率良くエネ
ルギーを得るために、バーチャルリアリティーの夢を見せ
られているが、ごく一部の人間が目覚めてコミュニティを
作り、機械に抵抗して人間を解放しょうとしている。
主人公の“ネオ”は人間を解放する「救世主」として、戦い
を始める。
ス』の話なんか始めたのかというと、 「これ、現実やん
か!」と、最近分かったからです。
今、わたしたち人間は、機械に支配されてはいませんが、
実は『マトリックス』と同じやり方で、別のものに支配され
ています。
わたしたちを支配し、わたしたちのエネルギーを吸い取っ
ているのは、“経済”です。
「“経済”が支配している」などと言うと、巨大企業や資本
家や、それらと手を握る為政者が動かしている。と考えると
思うんですが、そうではなくて、彼らも“経済”に支配されて
いるんです。わたしたちは“経済”というシステムそのものに
支配されているのです。
『マトリックス』の中で、人間は夢を見せられ、その中で
欲望を満たされることで生き続け、エネルギーを生み出し、
機械はそのエネルギーを吸い上げることで存続しています。
一方、わたしたちが今生きている世界では、人と人が直接
に、あるいはTVやインターネットを介して、欲望を刺激さ
れ、夢を持たされ、不安や虚栄心を煽られ、様々な活動をす
ることで世の中が動いていきます。そして、その世の中の動
きとは、現代にあっては“経済”の動きであると言っても過言
ではありません。
わたしたち人間は、“経済”というシステムに動かされ、自
分で自分を惑わす夢を作り、その夢を自分で見て、目覚める
事を知らずに活動をし続け、自分のエネルギーを消費してい
る。そのエネルギーは人間本来の幸福の為ではなく、経済を
動かし、存続させる為に使われている。 資本家や為政者も
“経済”にそそのかされ、愚かな夢を見せられ、人々のエネル
ギーを“経済”というシステムに送り込む道具として、その役
目をはたしているにすぎない。
監督・脚本のウォシャウスキー兄弟が、経済システムのア
ナロジーとしてこの作品を制作したかどうかは知らないが、
少なくとも無意識のレベルでは、現実の世界をそのように捉
えていたのだろう。(公開当初、私はこの作品を観て「悟り
を描いた、宗教的な映画だなぁ」と受け取っていた)
映画の中では、最後に“救世主・ネオ”が、目覚めた人間た
ちの生存の契約を“機械”と結ぶところで終わるが、果たして
わたしたちは”経済”から目覚め、自分たちの命(エネルギ
ー)を自分たち自身の為に取り戻すことが出来るのか?
“わたしたちは、何の為に生きているのか?”
少なくとも、“経済”の為ではないだろう。
人間が作り出したものである“経済”だったが、いつしか人
の手を離れ、人の手に負えなくなって、作り手である人間が
操られている。
今、目覚めている人はどれだけ居るのか?
これからどれだけの人々が目覚めることが出来るのか?
目覚めた人々は、“経済”の管理を逃れて生き続けられるの
か?
“救世主”は、たぶんわたしたち一人一人だろう。
一人一人が、自分自身の“救世主”にならなければならない
のだろう。
「目覚めよ!」
な~んてね。
どんな未来が待っているのか? 野次馬気分でしばらく付
き合わせてもらおうかな。
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