わたしたちは自分自身のエゴによって、さまざまな問題を
作り出す。だからエゴを無くすことが出来れば、問題も無く
なる。けれど、人は一生かかってもエゴを無くすことは出来
ない。
それは動き続け、休むことを知らない。そもそも、エゴを
無くそうと思う人は少ない。それこそが自分だと誰もが思っ
ているのですからね。
「エゴ」=「自我」だから、それが自分である事に間違い
は無い。それを無くそうなんて思う方がどうかしているのか
もしれない。けれど、誰もが大事にしているそのエゴが、一
体自分自身に何をしてくれたか? また、他人に対して何を
するか? しみじみと振りかえって確かめてみれば、エゴは
大事に守るべきものでもないと思うんです。
エゴを無くすという事は、自分を失くすという事。
自分を失くすなんて恐ろしい。
でも、エゴは「社会に対しての自分」であり、「社会との
折り合いを付ける為の自分」です。本来の自分ではないの
で、決して人をしあわせに導かない。
旅行に出かけて存分に楽しんで、本当に楽しかった! で
も、家に帰り着くと「ほっ」とする。それは誰しも経験す
る。
エゴに従って生き続けるというのは、「他人に誘われた旅
行に出かけっぱなし」というようなもの。刺激的かもしれな
い。楽しいかもしれない。けれど、「ほっ」とする間はない
でしょう。
そもそも人にとって旅行とは何か?
人に旅行は必要か?
最近、海外からの旅行者が日本にいっぱい来ますね。
たいていの人は旅行をする。私も時々旅行する。でもそれ
は何故なのでしょう?
まず考えられるのは「退屈しのぎ」。
二つめは「ストレス解消」。
三つめは「何かを発見(体験)する為」。
一つめと二つめは、日常の抑圧から自分を解放してやるこ
とで、目的は同じでしょう。三つめにもその意味合いはある
でしょうが、そこに「自分を変えたい」という欲求が入って
来ます。今までの自分が物足りないんですね。
「自分は、もう少し違う在り方が出来るんじゃないか?」
現状に満足出来ない自分がそう感じて、自分を変えてくれ
るものを求めて旅に出る・・・。
いずれの理由にしても、今までの日常に不具合を感じて、
“何処か” へ出かけようとする・・・。
「いやいや、別に不具合が無くったって旅行へいくでしょ
う」
そんな反論も有りそうですが、人間って満足してしまうと
動かないものだと思うんですよね。
からだが痒くて掻いたり、寝返りを打ったりという事で
も、不具合が生じるから無意識にでもそうする。何の不具合
もなければ、人はおとなしく寝てますよ。
日常に不具合を感じなければ、何か特別な事をしたくなっ
たりはしません。
その「したくなる事」「してしまう事」が特別であればあ
るほど、日常に感じている不具合の度合いが大きいというこ
とだと思いますね。
日々の暮らしの中に満足している人は、その中から出る必
要を感じないはずです。(日々、覚せい剤を使用している人
とかは、また別ですが・・)
日常に退屈しない。(それがありふれたものでも)
ストレスは溜まらない。(特別、ラッキーじゃなくても)
今の自分に満足している。(特別、恵まれてなくても)
そんな人が居れば、その人は旅行なんてしないだろうし、
個人的なイベントも必要としないでしょう。ただ、淡々と
坦々と日々を過ごして行く・・・。
その人は、それで十分に満足で、楽しくて、しあわせなの
で、“今ここ” から “いつか何処か” へ行く必要を感じない。
自分の話を引き合いに出すのは恐縮ですが、前に書いた
『ホットサンドの空前絶後』の中でも触れたように
がら良く出来た回だと思います
轍もない無限の可能性の中に生まれた “一瞬” の連続です。
その事を意識するなら、退屈のしようが無いし、「ラッキ
ー・アンラッキー」なんて考える事が無意味に感じてストレ
スも溜まらないだろうし、充分に自分に満足出来るはずだろ
うと思うのです。
「何処かへ行こう!」
「何かをしよう!」
そんなことを毎日考えているような人は、日々を楽しんで
いる様に見えて、実はすごく日々に疲れてたり、満足してい
なかったりするのですね。
「もっと!もっと!」を続けて行くほどに、何処かへ辿り
着いたり、何かを手に入れたりするのでしょうが、それは元
いた場所から遠く離れ、得た物の分だけ重荷を背負うことで
す。いくら本人がマゾヒスティックな喜びを持っていたとし
ても、単に “それしか知らない” ので喜んでいるだけでしょ
う。(結果的に「“知るべき事” を知る」こともあります
が)
旅行から家へ帰って「ほっ」とするあの感覚を、わたした
ちはもっと良く吟味した方が良いでしょう。
自分の居るべき場所。
在るべき自分。
それを知る手掛かりが、あの「ほっ」の中にある。
何でもない、ただの自分に戻るだけで、わたしたちは「ほ
っ」とするのです。
わたしたちは外ばっかり見過ぎなんですね。
旅行も上手にすれば楽しいものですが、自分に居ることは
もっと楽しい。だって、そこに居られるのは〈自分〉だけな
んですから。
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