2018年5月2日水曜日

エゴは愛されたがる


 〈エゴ〉というと、「自己中で、わがままで、他人の事な

ど何にも気にしていない」という感じがしますが、実のとこ

ろ〈エゴ〉は、とても愛されたがるものです。

「愛されたい」というよりは、「認められたい」という方が

いいでしょうが、何にしろ他者に肯定されて、自分の価値を

確かめたいんですね。
 

 〈エゴ〉は、常に他人の目を気にしています。

 “他人の目” つまり “社会の評価” だけが、〈エゴ〉の存在

価値を担保してくれるものだからです。

《意識とは、社会が脳の中に浸潤して来たもの》で、それが

〈エゴ〉ですから、“社会の評価” だけが〈エゴ〉の存在価

値を担保するのは当然です。「社会の価値感」が〈エゴ〉の

骨格なのですから、社会から認められなければ、〈エゴ〉は

崩れてしまいます。だから〈エゴ〉は社会(他者)から愛さ

れたい。愛され(認められ)、自分の正当性を確かなものに

したいのです。

 しかし、愛されたとしても、それは一時しのぎにしかなり

ません。


 〈エゴ〉を生むのは “社会” です。その “社会” に認めら

れても、それは〈子供〉が “家族” に認められるようなもの

であって、身内の馴れ合いでしかありません。その「価値

感」は、 “社会” という小さな世界の中でだけ意味を持つも

のであって、外の世界が垣間見えた時には〈エゴ〉は安定感

を失い、「懐疑・恐怖・怒り」に苛まれることになります。

 いや、〈エゴ〉は常に外の世界の存在を感じているので、

「懐疑・恐怖・怒り」の影に怯えていて、それ故に自分を認

めてくれるものに飢えているのです。

 「わたしを愛してくれ」と。


 外の世界とは、“エゴの外の世界” という意味ですが、

〈エゴ〉にとって、〈エゴ〉以外の世界が成立することは脅

威です。「他の在り方が確固として存在する」ことは、〈エ

ゴ〉自身の肯定感を揺るがしてしまいます。その様な世界が

自身とは無関係に成立していては困るので、存在するのであ

れば、〈エゴ〉自身を肯定してくれるものであって欲しい。

つまり、愛されたい・・。


 ところが、〈エゴ〉の仕事は「エゴ以外のものを否定する

こと」ですから、〈エゴ〉が別の〈エゴ〉から愛されること

はありません。

 また、本当の “エゴの外の世界” が〈エゴ〉愛することは

ありません。“エゴの外の世界” は特定のものを肯定したり

はしません。「すべてOK」なので、〈エゴ〉の持つ「自分

は特別」という想いを損ないます。それは、〈エゴ〉からす

れば敵対的で、自尊心を傷つけるものに映ります。(でも、

れこそが〈愛〉なのですが・・・、〈エゴ〉には理解でき

せん)


 結局、どれほど〈エゴ〉が愛されたくても、〈エゴ〉が愛

されることはありません。

 〈エゴ〉の知る “愛” と、本当の〈愛〉は別のものなの

で、ついに〈エゴ〉は愛されることがないままに終わりま

す。(愛されていても、気付けないのですから・・)

 〈エゴ〉が手に入れられるのは、近い立場にある別の〈エ

ゴ〉から、ほんの一時受けられる “認定” でしかないのです

が、〈エゴ〉はそれを “愛” とみなします。そして、その 

“愛” はすぐに壊れます。 

 〈エゴ〉は「自分が大事」ですし、それ故に「否定するの

が仕事」ですから、せっかく自分を “認定” してくれた別の

〈エゴ〉に対しても、それが持つ、自分とは違う部分の否定

を始めるからです。

 「それは違う!」

 「それはおかしい」

 「それは変だ」

 「それは間違ってる!」

 戦いが始まります・・。


 〈エゴ〉は誕生して以来、休みなくそんなことを繰り返し

続けて、他者を憎んだり、恨んだりしているわけですが、そ

の一方で、自身の肯定感を得たいが為に、やっぱり「愛され

たい」・・・。そりゃ、無理でしょう。


 愛されたければ、〈エゴ〉を消すこと。

 せめて、脇にどけること。

 けど、その時に「愛される」のは、〈エゴ〉ではないです

けどね。だって、そこに〈エゴ〉はないわけですから。


 やっぱり〈エゴ〉が愛と出会う事は無い。

 愛は〈エゴ〉の外に在る。

 〈エゴ〉が、自身の完全な肯定感を得る時は、永遠に来な

い・・・。


 〈エゴ〉の間違いとは、「愛」というものを “関係性” だ

と思っていることなんですね。 

 「愛」とは、“関係性” ではなくて、“在り方” なのに、そ

れに気付けない。

 〈愛〉には、関係を持つべき「対象」は無い。

 “世界すべてを肯定する在り方” が〈愛〉だからです。


 〈エゴ〉がどれほど愛されたがっても、〈エゴ〉である限

り〈愛〉の外に居る・・・。

 憐れですね・・・。




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