2018年12月5日水曜日

宗方コーチとの出会い


 私が 宗方 仁 と出会ったのは、確か中学一年生の時でし

た。

 何気なく観た、アニメ『エースをねらえ!』にハマってし

まい、その中で 宗方 仁 の言葉にふれることになったので

す。



 その後、原作の漫画も読み、『エースをねらえ!』

は、私のバイブルと言っていいものになったのです。




 『エースをねらえ!』のアニメは、その後なんども再放送

され、その都度、私は可能な限り観ていましたし、原作の漫

画も、何度も何度も読み返しては涙していました(泣かずに

読めるか!)。



 『エースをねらえ!』は、当然ながら 岡 ひろみ が主人公

なわけですが、本当に描かれているのは 宗方 仁 という人間

です。

  人生の闇を見たひとりの男が、再生し、闇を見たからこ

そ光を知り、その光へとまわりの人間を導いて行く物

語・・。



 『エースをねらえ!』には、心に滲みる数多くの言葉が散

りばめられていますが、その中で、宗方コーチのある一言

は、私の人生にとてつもない影響を与えました。



 お互いに想い合っていた 岡 ひろみ と 藤堂隆之。

 藤堂は、ひろみに想いを伝えようと心に決めます。それを

察した 宗方 は 藤堂 にこう伝えます。

 「男なら、女の成長を妨げるような愛し方をするな・・」


 「ガァーーン!」

 藤堂は、強烈なショックを受けますが、聡明な好青年であ

る 藤堂 は、今の ひろみ の状況を考えて、想いを伝えるこ

とを断念するのです。


 この 宗方 の言葉に「ガァーーン!」とショックを受けた

のは、藤堂 だけではありません。

 当時十三歳で、ニキビの出来始めていた私も「ガァーー

ン!」となったのです。

 「『男なら、女の成長を妨げるような愛し方をするな』

か・・・」

 というわけで、思春期に突入したばかりで、これから本格

的に恋をする事になるだろう私も、「女の成長を妨げるよう

な愛し方」は出来なくなったのです。



 大人が聞いたら笑うだろう話ですが、「十三歳の男の子

は、本気でその言葉を受け止めた」のでした。



 これまで生きて来た中で、さまざまな言葉に出会い、大き

な影響を受けたりしましたが、私の人生に最も大きな影響を

与えたのは、この言葉だと思います。



 この言葉は、単に「女の成長を妨げる関わり方をするな」

という事ではなく。「人の成長を妨げるようなものは〈愛〉

ではない」と言っているわけです。



 前に、《自分の為に結婚してはいけません》ということを

このブログに書きましたが(『結婚してもしあわせになる方

法』2017/4)私がそういう考えを持つようになった裏に

は、この言葉があるのでしょう。

 そうして私は、宗方コーチのおかげで、大変しんどくて、

かつ、しあわせな人生を歩むことになったのです。


 たかがマンガ。たかがアニメ。

 その「たかが」が人を思いがけない所へ誘って行く・・。


 人の言葉、人の表現というものは、恐るべきものだと思い

ますね。

 でも、タイミングが合わなければ、それはなんの力も持ち

ません。結局 “因縁” なんですね。


 私が 宗方コーチの言葉を聞くのが一年早いか遅いかして

いたら、何の影響も受けなかったかも知れません。


 さまざまな出会いが、その都度、人の進む方向を決めて行

く・・・。
 

 私は何処へ行くのか?

 わたしたちは何処へ行くのか?
 

 願わくば、おだやかさへ導いてくれる出会いを・・・。


 『エースをねらえ!』の中で、宗方を亡くし、慟哭の中に

ある ひろみ に、両親が与えた誓子の句を挙げて、今日は終

りましょう。


 《 神これを創り給えり 蟹 歩む 》




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