2019年1月20日日曜日

起った時には、終わってる。


 一昨日の夜、風呂に入ろうとしている時に突然思った。

 「終わったな」と。

 何が「終わった」のかよく分からないのだけれど、なぜだ

か「終わった」と思って、肩の荷が下りた気がした。何が

「終わった」のだろうかと考えているが分からない。

 「悟った」というような事でもなさそうだし(残念なが

ら)、いったい何だろうかと思っているが、何やら肩が軽く

なったのは確かだ。


 ずいぶん前にこのブログに書いた言葉で、《 起った時に

は、終わってる 》というのがある。(『うるさいのは?』

2017/1)


 わたしたちが経験する出来事は、起った時には、終わって

います。

 当然ながら、わたしたちの意識は出来事が起ってからでな

ければ、それを認識できません。出来事が起ってからコンマ

何秒か遅れて認識しています。つまり《起った時には、終わ

ってる》わけですね。

 そして、わたしたちの思考は、起こった事に対して働きま

す。

 未来の事を考えている時でも、それまでに起こった事を踏

まえて、今後どの様にして行けば良いかなどを考えているわ

けなので、未来の事を考えても、結局は起こった事に対する

思考の働きです。

 わたしたちがしていることは、済んだことを「ああだ、こ

うだ」とアタマの中でこねくり回して、その考えをアタマの

外に出して現実の世界もこねくり回すということです。それ

が「人間活動」と呼ばれるものですね。
 

 人間以外の生き物だってそうです。

 ウサギが狐の姿を見つけたら、それに対応する行動を取り

ます。当たり前ですね。

 けれど、ウサギは「去年の九月に狐の野郎が、向こうの谷

で追いかけて来やがったな」なんていうことは考えない(と

思う)。しかし、人間は違う。アタマの中に膨大な過去(記

憶)を蓄積していて、新たな体験をするたびに、それと関連

付けて「ああだ、こうだ」とこねくり回し続けています。そ

れが人間のクセというか、異常な所ですね。


 過去の経験を将来の為に活かすというのは当然の事です

が、本当に活かしてるのか?

 たんに、過去に囚われているだけではないのか?

 過去の愚かさを、形を変えてなぞろうとしているだけでは

ないのか?

 過去の「怖れ」を拭いきれないでいるだけではないのか?


 「?」を付けましたが、ホントは疑問の余地はありません

ね。

 わたしたちは、過去に囚われ、過去の愚かさを繰り返し、

過去を払拭出来ずにもがいています。それがわたしたちの思

考であり、行動です。

 わたしたちの未来は、なんとか過去の穴埋めをしようとい

う、もがきの為に在るようなものです。


 なんと可哀相なわたしたち・・。

 もうすでに終わってしまって何処にも存在していないこと

に生きることを費やしているなんて・・・。


 あなたも私も、どれぐらいの件数の過去の出来事を、今

日、アタマの中でこねくり回したでしょうか?

 来る日も来る日も、過去の事をアタマの中でこねくり回し

ては、「あれや、これや」と何かをして、その結果をまたア

タマの中でこねくり回す・・・。

 本当にそんなことが必要な事柄が、いったいどれくらいあ

るでしょうか?

 落ち着いて考えてみれば、放っておいて良いことの方が圧

倒的に多いのではないでしょうか?


 もう全部終わっているんです。

 もう終わったんです。

 わたしたちのアタマが終わらせようとしないだけなんで

す。

 過去にハマった穴なんて、過去と共に消え去ってもう何処

にも無いのに、アタマはいつまでも穴の中に留まっているん

です。



 ここまで書いて来て、一昨日、私が「終わった」と思った

のは、こんなことだったんじゃないかなと思いました。


 〈過去の穴の一つに私のアタマが関わり続けていて、私に

ロープの片方を穴の外で持たせて、アタマは穴の中にぶら下

がっていた。ところが、何かのはずみか成り行きで、私がそ

のロープを放してしまったんだろう〉と。

 だから、私は「終わった」と思い。肩が軽くなった

と・・・。


 どんなキッカケで、なぜそうなったのかはさっぱり分かり

ませんが、そのようなことなのではないかと思いますね。無

意識に背負い込んでいた何かから解放されたのでしょう。

 普通は、こういう時には何かの気付きがあるもんだと思い

ますがね・・・。



 何にしろ、何かが「終わった」ようです。

 そして、何もかも終わっています。

 ぜんぶ、けりが付いてる。

 アタマなんて、穴の中に置き去りにすればいい。
 

 すべて終わっているというこの事実が、肚の底で感じられ

たら・・・、わたしたちは本当に自由だろうと思うのです

が・・・。




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