Like a seagull.
「かもめのように」
私が高校生の頃、神戸の新長田に「seagull」という名の
ジーパン屋さんがありました。(ジーンズショップとは言わ
ない)
今、ちょうど鉄人28号が立っているあたりでしたが、そ
の店の二階に「LIKE A(ライカ)」という喫茶店があっ
て、よく通っていました。
カウンター席とテーブルが三つ。全部で13~5席ぐらい
の、小さな店でした。
白い壁と天井の細長い店内には、天窓(があったと思う)
から優しい光が落ち、チョコレート色のテーブルと椅子、小
さなガラスの飾り棚があるだけの、シンプルで落ち着いた雰
囲気でした。
オーナーは、たぶん当時28歳ぐらいのとても綺麗で落ち
着いた、「大人!」という感じの女性で、やさしい物腰の笑
顔が素敵な人で、高校生だった私が、はじめて「大人」を感
じた女性でしたね。ときめいたのではなく、憧れました。
店内には、大抵 J.D サウザーやカーラ ボノフなどといっ
た AOR 系の曲が流れていて、その落ち着いた空間でコーヒ
ーやジュースを飲みながら過ごすのは、本当に気持ちが良か
った。(ミックスジュースがメチャメチャうまかった!)
seagull」となる様になっていて
はご家族だったんでしょう
い、店の雰囲気といい、「なぜ、こんなハイセンスな店が長
田にあるんだろう?」と思いながら、足しげく通っていまし
た。(長田は下町なんです)
あの店に通ったことは、いろいろな面で私のセンスに影響
を与えたと思います。
と、そんなローカルで個人的な昔話を聞かされてもしょう
がないでしょうから、「Like a seagull」という今日のタイ
トルについて。
以前、短い間ですが海のすぐ近くに住んでいた時期があっ
て、ある日、台風並みの非常に強い風が吹いていた時に、海
の様子を見に行った事がありました。
瀬戸内海には珍しく、高い波が荒れまくる海をしばらく眺
めていたんですが、その時、東の方から一羽のカモメが飛ん
で来たのです。
カモメは猛烈な西風の中を、まったく羽ばたくことなく、
翼の角度をほんの少し調整するだけで、かなりのスピードで
滑るように西へ飛んで行きました。
その見事な飛翔にあっけにとられ、その姿が小さくなるま
で、カモメを見ていたんです。
「自分で羽ばたかずとも、自分の在り様をほんの少し風に
合わせるだけで、逆風の中を労せず進んで行ける・・・」
なんだか、重要な人生訓を教えられたような気がしまし
た。
あれ以来、いろいろな困りごとがある時に、あのカモメを
思い出すことがあります。
でも、思い出したところで、逆風に対して自分の翼の角度
をどう合わせたら良いのかが分からない・・・。
ただ、「余計な力を出そうとすることは逆効果だろう」と
自分に言い聞かせながら、いつかあのカモメの様に、ムダな
作為はやめて、悠然と進んで行けるようになれたらなぁと思
うのです。
「LIKE A」で過ごした時の様な、穏やかで落ち着いた自
分でいられるように、ムダなあがきをせず、あのカモメのよ
うに生きて行ければなぁ・・・。
Like a seagull.
生きてるうちに、そうなれる日は来るのだろうか?
「そんな日が来なくったってかまわない」
そんな力の抜き方が、必要なのかもしれません。
0 件のコメント:
コメントを投稿