2018年3月6日火曜日

人は、なぜ喋る?


 人というものは、よく喋ります。放っておけば、人生の半

分以上を喋ることに費やすのではないでしょうか。

 そんなにエネルギーを使って、どんな話をしているかとい

えば、世間話と・・・・、・・・ほとんど世間話ですね。

 世間話といっても、ここでは政治・経済・エンタメ・スポ

ーツ・仕事・遊び・人の悪口などをひとまとめにして言って

います。(「ひとまとめ」といっても、世間話の半分以上は

“人の悪口” ですが)
 

 なんだって人はこんなに喋るのか?

 人が喋る理由は、三つあると思います。

 一、溜まったものを「捨てる」為。

 一、持っているものを「与える」為。

 一、自分の位置を「探る」為。



 「捨てる」

 生きていると、心理的なゴミ(ストレスなど)が溜まりま

すから、それを捨てる為に喋ります。その際、話し相手は 

“ゴミ箱” として扱われています。


 「与える」

 教育・連絡など、情報を与える為に喋ります。

 楽しみを与える為にも喋ります。明石家さんまが喋るのは

その為ですが、その中には「捨てる」も混ざっているかもし

れません。(あと、“病気” も・・。“さんちゃん” は好きで

すが)

 さらには、想いやムードなどを与える(伝える)こともあ

ります。喜び・悲しみ・温かさ・怒り・・・など。


 「探る」

 世の中での自分の位置を知る為に、喋ります。

 自分の話に、まわりからどんな反応が返って来るかで、自

分の居る場所を知ろうとします。コウモリやイルカの「エコ

ーロケーション」のようなものですね。実のところ、人が喋

る理由の八割ぐらいは、この為だろうと思います。



 わたしたちが喋る事のほとんどが「世間話」なのは、「世

間」の中での自分の立ち位置を、知る為だからです。

 コウモリやイルカは、自分の発した「音」の反響を受ける

ことで自分の位置を知りますが、わたしたちは、喋った

「話」の扱われ方で、「世間」での自分の位置を知ろうとし

ます。

 ですから、誰かに話しかけても、何の反応も返してもらえ

なかったら、わたしたちは非常に不安になります。自分の位

置が分からなくなるからです。

 そういう場合は、まるで迷路の中に入れられたようなもの

ですから、早くその環境から逃れようとします。誰しも経験

することですね。


 人が、四六時中喋っているのは、世の中で迷子にならない

ようにする為ですが、実際には、みんな世の中で迷っている

ように見えませんか?

 迷っていますよね。

 そして、お喋りな人ほど、酷く迷ってると見た方がよいで

しょう。(喋らない人が、迷ってないとは限りませんが)

 一時、世の中で「上手いこと行っている」時は、迷ってる

ようには見えなかったりしますが、そう見えてるだけで、実

は迷っていたりします。


 迷わないように、一生懸命喋って、自分の位置を確かめて

いるのに、なぜ迷ってしまうのか?

 考えれば当然の事ですが、自分の位置が確定していないか

ら、わたしたちは喋ります。誰もがみんな、お互いに自分の

位置が確定していないのに、お互いの反応を頼りにするので

すから、いつまで経っても誰一人位置が確定する事はありま

せん。

 一時、「上手いこと行っている」時があるのは、自分の所

属する集団の中の約束事が、結構しっかりとしているという

だけで、羅針盤(古い?)・・・、GPS機器の壊れた大型

客船に乗っていて、乗客と乗組員はその事を知らないという

ような事です。カルト宗教とか、景気の良い職種とか、「今

だけ」、「その中だけ」のことです。


 普通はそれしかやり方を知らないので、人は喋ることで自

分を安定させようとしますが、基準にならない “お互い” を

頼っている限り、いつまでたっても迷い続けるだけです。

 その上、自分のことは棚に上げて、「お前がしっかりして

ないから、こちらまで迷うんだ(酷い目に合うんだ)!」と

いがみ合いが始まります。


 「喋ってもダメなんだから、黙れば?」と思います。

 人は、役に立たないのに喋り過ぎです。


 「捨てる為」に喋るのだって、“喋り合う” ことで溜まる

ストレスを「捨てる」のです。

 捨てられた方は “ゴミ箱” 扱いですから、ストレスが溜ま

ります。そして、別の “ゴミ箱” に自分のストレスを捨てま

す。

 そうやって、果てしない “お喋りの悪循環” が続くので

す。

 「やっぱり、黙ったら?」そう思いますね。


 昔から、《雄弁は銀、沈黙は金》と言います。


 《 沈黙の中にだけ、しあわせがある 》


 そういうことで、ひとまず本日は黙る事にしましょう。



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