2018年2月6日火曜日
《卑怯者は、安全な時だけ居丈高になる》
自衛隊のヘリコプターが民家に墜落してしまった。
住民の小学生の女の子が軽いケガという事だけれど、一般
人に死者が出なかったのが、自衛隊と政府にとってせめても
の救いだろう。とはいえ、搭乗していた二人の自衛官と、ご
家族には気の毒なことだ。
「あってはならない事!」
テレビのキャスターやコメンテーターが、きつい口調で言
う。
そりゃそうだ、「あってはならない事」だ。
けれど、「当然、起きうる事」でもあるし、「いずれは起
きる事」でもあった。
日本中の空を、大型旅客機・小型機・ヘリコプターが毎日
飛び交っている。公的機関・民間合わせてどれほどの数なの
か想像もつかないが、何十年も前からその様な状態が続いて
いる。
「よく、住宅やビルに落ちないよなぁ」
自宅の上を飛ぶヘリコプターなどを見上げて、私はいつも
思ってきたのでした。
航空機の墜落・不時着は時々報道されるが、この何十年か
のうちに、建物の上に落ちた事故は、あまり記憶がない。ほ
んの数件なのではなかろうか?
事故に遭遇してしまった方には怒られるかも知れないけれ
ど、「飛ばしてる方は、良くやってるなぁ」というのが、こ
れまでの私の感想です。
ニュースキャスターは、責める様な口調でコメントするけ
れど、報道のヘリを飛ばすパイロットや整備士にしたって、
どれだけ誠実に仕事に当たっても、100%完全な仕事が出来
る保証はない。もしも、新宿の真ん中で報道ヘリが落ちた
ら? (覚せい剤で捕まった芸能人が、車で拘置所へ送られ
るのを、ヘリを飛ばしてリポートしたりするけれど、映像の
価値と事故のリスクを勘案したら・・・。私は「バカやって
る」としか思わないんだが・・)
整備士は、ネジひとつ、ケーブル一本の点検漏れもない様
に万全を期しているだろう。パイロットは、天候・風向きに
気を配り、エンジンを始めとする機器の調子を、音や振動で
確かめながら万全を期して、操縦しているだろう。けれど、
人間のする事。いや、この世の出来事。
完全は無い。
「あってはならない事」
それは間違いない。
そして、誰も「あってはならない事」に関わりたくはな
い。その為に誠意を尽くして働いている。今回の関係者もそ
うだろう。しかし、ミスか不可抗力かは知らないが、今回は
何かが違ってしまった。違っていないはずの何かが・・。
担当した整備士は、今どんな気持ちでいるだろう。
死んだ自衛官の同僚や上官は、どんな想いでいるだろう。
誰ひとり悪意が無くても、誰ひとり怠慢な仕事をしていな
くても、不幸が起きてしまう時がある。
ミスがあったかも知れない。
責任は負わねばならない。
けれど、それが人間的な “不完全さ” によるものならば、
第三者は言葉を慎むべきであろう。 “人として” 、配慮を持
った発言を心掛けるべきであろう。
自身の “不完全さ” は不問にして、他人の “不完全さ” を
問題にする人間は多い。
たまたま自分の失敗が、重大な問題に繋がらなかったこと
をかさに着て、人を責め立てる。幼稚だと言うしかない。
極論を言わせてもらえば、人が「悪意を持つこと」も、人
の “不完全さ” のひとつと言える。もちろん、「悪意を持っ
てした事」の責めは負わねばならないが・・・。
「悪人になろう」と思って生まれて来る人間はいない。
「人を傷付ける失敗」を自ら進んでする人間はいない。
一方で、「人を傷付ける発言」を自ら進んでする人間はい
る。「そういう人間になろう」と思って生まれて来たわけで
はないだろうが。
人はみんな “不完全” 、人はみんな “出来損ない” 。
他人の事を、高い所から「とやかく」言い切れる人間は存
在しない。
事故に遭ってしまった住民。亡くなった自衛官。そのご家
族。同僚・上官。 整備に関わった担当者。
その方たちの気持ちを想う。
加えて、この事故に幼稚なコメントをする人間の、品性を
想う・・・。
二種類の “やるせなさ” が相まって、今日は少し気が重
い・・・。
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