何年か前から、男子高校生の元気が無いように見える。特
に、電車の中の男子高校生を見ていると、まるでサラリーマ
ンのように見える。制服がほとんどブレザーになったことも
あるかもしれないが、とにかく元気が無い。肌にツヤが無
い。女子高生はまだ元気があるけどねぇ。
そんなことを思いながら日々を過ごしていたら、電車の中
でこういう広告を見た。
これは中学校・高校向けの「校務支援システム」の広告と
いうことで、中に書いてあるように、写真はその概略イメー
ジだそうだ。既に多くの学校で採用されているそうだが、こ
れを見て、「そりゃ、男の子たちの元気がないはずだ」と私
は苦笑いをした。
「管理」という文字がいくつあるか数えてみてもらいた
い。こんなに管理されてちゃ、元気の出しようがない。
「いや、生徒を管理しているんじゃなくて、生徒の情報を
管理するんだ」と、この会社と学校側は言うだろう。けれ
ど、それはワンクッション置いてるだけで、同じことだろ
う。
このイメージ図は良くできていて、「個人カルテ」と書い
てあるところから伸びた赤枠が「生徒」を囲ってあって、あ
る “枠” の中に収まる人間になるようにしたいというのがとて
もビジュアルに示してある。そして「カルテ」という言葉
も、生徒の「社会性から外れた部分」や、「求められる社会
的能力が足りない」といった “症状” を改善する為という理
念が現われているのがよく分かる。「子供らしい」とか「若
者らしい」というのは、病気なのだろう。病人扱いなんだか
ら、元気にしてられないわなぁ・・・。
男の子というのは女の子に比べて、やはりある程度の暴力
性を持っている(エネルギーが余ってしまい、その発露を求
める)のが普通なので、管理が厳しいと、女の子以上に鬱屈
してしまうのだろう。もちろん暴力的でいいというわけでは
ないし、教育というものはそれぞれの社会に適応できるよう
な人間にすることがそもそもの目的なので、管理するのは当
然でもある。ただ、今は、やり過ぎなんだろう。ようするに
遊びが無い。ぎちぎちに囲われてしまっている。
遊びが無いといえば、いまの若い子の “遊び” を見ている
と、果たしてそれを「遊び」と言えるのかとも思う。
用意された遊び。教えられた遊び。容認された遊び。推奨
された遊び・・・。スポーツ・ダンス・バンド・ゲーム・マ
ンガ・・・。昔はバンドやダンスに興じている奴は「不良」
と言われた。マンガやゲームに夢中な子供は「バカで怠け
者」のように扱われた。それがいまやダンスは授業に組み込
まれ、部活に軽音やマンガ部が有り、スノーボードもスケボ
ーもオリンピック種目で、さらには e - ゲームがオリンピッ
ク種目に入れられようとしている。あらゆる “遊び” が社会の
管理下に組み込まれ、ルールや運営方針が定められていて、
そこには自由が無い。
自転車の二人乗りもできず、道にチョークで絵を描いたら
近所から苦情を言われ、キャッチボールをしていたら「公園
でやれ!」と言われ、小学生が塀の上を歩いたら注意され、
冒険心をそそられる場所はフェンスに囲われて「立入禁
止」・・・、遊べないね。
そして、学校では管理されまくるし、教師も親も他に何を
言えばいいのか知らないので、ふたこと目には「勉強しろ」
とか「夢や目的を持て」などと言う。
子供たちは目的志向を植え付けられ、その為に管理され
る。「遊び」はどこへ消えた?
先日見たニュースでは、生命保険会社のアンケートで、小
中高校生の “なりたい職業” の 1 位は「会社員」だったそう
だ。
見事に「子供らしさ」という “子供の病” と、「遊び」とい
う症状は克服された。これで安心安全だろう。
大人たちよ、おめでとう!
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