2019年4月28日日曜日

敬意を払え



 歩きスマホをしている奴だとか、電車の中でスマホに夢中

になって周りの人の邪魔になっている奴だとかが不快なの

は、「そいつが “傍若無人” だからだ」というような話は以

前書いた。“傍(かたわ)らに人無きが若(ごと)し” 、要

するに周りの人間に敬意を払っていないのです。


 「敬意をはらえ!」

 そう言いたい場面に出くわすことが、もの凄く増えたよう

な気がする。

 単に自分が歳をとって頭が固くなり、狭量になって来たか

ら、ということではなさそうに思う。人に敬意を払わない日

本人が、実際に増えている気がする。

 それぞれがとても狭い世界に入り込んで、その世界の外に

いる者は存在していないかのように振る舞う・・・、と言う

より、存在していないんだろうなぁ。

 存在しないものに敬意を払う必要など無いのだから、敬意

を払わないのは当然だというだけなんだろう。


 人に対して敬意を払うということは、自分自身が心穏やか

でいるためにとても重要なことです。「どうでもいい」「い

ないのと同じ」という人間が自分のまわりに増えれば増える

ほど、その人の世界は無価値なもので囲われてゆくことにな

るのですから、人に対して敬意を払わないということは、自

分の生きる世界の価値を消してゆくことになる。そうして自

分の生きる世界の価値が損なわれて行くと、その不毛さから

逃れようと増々狭い世界に逃げ込もうとする悪循環にはまっ

て行くことになる。価値が有るのは、自分と自分の世界だ

け・・・。

 人に対しての礼儀だとかマナーだとかいうことではなく

て、自分の生きている世界を価値あるものにするために、自

分のためにこそ、人に敬意を払うべきなのです。



 と、ここまで書いたことは、人として望ましい態度で、そ

れなりに意味のあることだと思いますが、実はそこからもう

一歩先へ進んでみたいのです。

 人だけではなく、生きているものだけではなく、あらゆる

ものに対して敬意を払おうと。


 服に対して、ドアに対して、石ころに対して、道に捨てら

れているタバコの吸い殻に対して、犬のウンコに対して、ホ

コリに対して、排気ガスに対して、ノロウイルスに対し

て・・・・。プルトニウムに対してだって敬意をもって接す

る方が良い(接してはいけないのですが)。

 空気に対して敬意を払い、地面に対して敬意を払う。敬意

を払って、地面を踏んで歩く・・・。

 なぜそんなものに敬意を払うか?

 それらが、自分と同じように「存在している」からです。


 私はなにも「犬のウンコを好きになれ」だとか、「タバコ

の吸い殻を道の上にそのままにして、温かく見守れ」などと

言いたいわけではない。

 蚊が飛んで来たら「パチン!」と叩き潰していいし、着ら

れなくなった服を捨てたって構わない。チンピラにからまれ

そうになったら逃げればいいし、イヤな上司や同僚を避ける

のも当然の事です。でも、そうしつつも、その存在に対して

の最低限の敬意を持っていなければならないと思うのです。

それらが、自分と同じように「存在している」から。


 「愛する」とか「大切にする」とか「認める」とかいった

ことでもないのです。「敬意を払う」という言い方しか出来

ないのです。他の表現を思いつきません。言葉に出来ない。


 視線を下げると自分の身体が見える。

 その自分の身体に対して、「良い」とか「悪い」とか「大

切」だとか「愛しい」だとかの想い以前に、言葉にはならな

い “肯定的な、ある感覚” をわたしたちは持っているはずで

す。その “感覚” 、“想い” を、自分以外のすべてのものにも

向けられないか?


 どんな存在であってもおろそかにできない。それを無いこ

とにはできない。「それが在ることの “絶対性” 」とでもい

うものを意識する。


 そういう想いを持つことができれば、世界は価値あるもの

だけで満たされることになるはずです。それは、人間の世界

の価値とは違うものですが・・・。


 四六時中、地面に敬意を払いながら歩くことなんてできま

せん。でも、時折そのことに想いを致す。

 ドアノブに手を掛けた時、敬意を持ってドアノブを回して

みる。

 ペットボトルのフタを開ける時、敬意を持ってフタを開け

る。

 スマホの画面をさわる時、敬意を払って指を滑らせてみ

る。


 それがどうだというのか?

 やってみればわかる。

 わかる人にはわかる。

 本当ならすべての人がわかるはずなんです。


 敬意を持ってスマホに触れる。

 「スマホも自分も存在している・・・・」

 そして視線を上げる・・・。

 自分のまわり「すべて」が存在している・・・。存在して

いる・・・。存在している!


 敬意を払え。


 自分と、世界の幸福の為に。



 

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