2020年6月13日土曜日

「アフターコロナ」というミスリード  コロナ ㉓



 この頃よく耳にする言葉が「アフターコロナ」。

 コロナウイルスの騒動を契機に、世界がどう変わるかとい

った文脈で出て来るのだが、私は「コロナウイルスの騒動を

契機に世界が変わる」とは思っていない。すでに世界が変わ

っていた結果として、コロナウイルスの騒動が起きたのだと

考えている。今回の騒動は「契機」ではなくて「結果」だ。

私たちの社会・意識がかなり極端な変容を遂げてきた結果と

して、今回のコロナ騒動が起きたのだ。


 人は何千年も自分たちの置かれている環境と状況をコント

ロールしようとしてきた。それは人として当然のことであっ

たと言える。けれど、その “コントロール願望”   “コン

トロール神経症” とでも言うべきだろうか?  がある程度

のレベルを超えると今回のような事が起こる。

 科学・医学が発達(?)して、かなり細かなところまで自

然を統御できるように思えてきたので、自分たちの置かれて

いる環境・状況を、気に入るようにコントロールせずにはお

れなくなった。コントロール出来るという思いが消せなくな

ってしまった。その勘違いなり、思い上がりが、今回の狂騒

を生み出したのだろう。実際にやっていることといったら、

中世のころと代わりばえしないのだが、意外とそのことに気

付いている人は少なそうだ。


 アフター「コロナ」はなく、「コロナ」以前にその契機と

なる何かがあったはずで、そこにこそ意識を向けるべきだろ

うと思う。
 

 いつ頃からかよく分からないけれど、「危機管理」、いわ

ゆる「リスクマネジメント」(小池百合子風、または専門家

委員会座長風に言ってみた・・・)という言葉が使われ始め

たのだが、そのあたりに何かがあったのではないかと、私は

にらんでいる・・・。「安心安全」という言葉が頻繁に使わ

れるようになったのもそのあたりじゃないのだろうか。

 ちなみに、ホリエモンが「想定内」という言葉を流行らせ

たのは2005年らしいが、「安心安全のために危機管理を徹

底し、すべてを想定内に収める」という感覚が、現代人の常

識として強く根付いたのは、ここ20~30年ぐらいのことな

んだろうな。いったい何が契機になったのか?

 「9・11」か?日本の「バブル崩壊」か?もっと別の何か

があっただろうか?そのあたりがよく分からない。世界的

に、人々の意識を「安心安全」に強く向けさせる何かがあっ

たのではないだろうか。いずれにせよ、「人類は賢くなった

のだから、さまざまな問題をコントロールして、危機を回避

できる!」と錯覚し始めたのだな。その “「賢くなった」ア

タマ” が悪さをするのに・・・。


 今回のことも、「危機を回避」するつもりで、「危機」と

は言えないような現象を過剰に問題視して、「危機管理」で

はなく「危機化管理」(危機ではないことを危機になるよう

管理すること)してしまったとしか見えない。 

 「想定外」の「不安危険」にパニックを起こして、想定で

きるはずの不要な混乱を引き起こしてしまった。「不安によ

る混乱の伝播」、いわゆる「不安パンデミック」(小池百合

子風、専門家委員会風に私も言ってみたい・・・)により、

ほとんどの人が事の本質を見誤ったのだ。ああ、アタマが悪

い。


 「『安心安全原理主義』という言葉が一般化すればいいの

になぁ」と思う。そういう言葉があると知るだけで、人の意

識は少し変わるはずだから、アタマの悪さにブレーキが掛か

る。

 それに「危機」というものは「管理」するものではない。

「管理」から外れているからこそ「危機」なのだか

ら・・・。

 「危機」は「管理」するものではなく、「対応」(あるい

は「対処」)するものだろう。人が生きて行くためには「度

量」というものが求められるのだ。「度量」にもいろいろあ

るけどね  そのあたりは『シン・ゴジラ』が参考になるの

ではなかろうか?


 「アフターコロナ」という世界があるとすれば、世界がこ

れまで以上にせせこましく生き辛くなることを意味するのだ

ろう。・・・やだなぁ~・・・。


 「生きる目的」は「死なないこと」だとでもいうのか?



 もう一度書いておこう。

 ある日、時の総理大臣がこうコメントするだろう。


 「生きていると、どうしても死ぬことを避けられません。

ですから、国民の皆様におかれましては、できるだけ “生き

ない” ようにして下さい・・・」



 同じ意味合いの事を、もうすでに安倍総理が現実に言って

しまったけれどね・・・。(『コロナウイルスには殺されな

くても、社会に生殺しにされる』2020/2 )


 「街へ出てウロウロして、本当はどうでもいいことに必死

になって、経済を活性化させて、社会を機能させること」

が、「生きること」ではないけれど、現状の「生きてなさ」

は、あまりにもアタマが悪すぎるよ。



 
 

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