2018年2月4日日曜日

再び、まど・みちお さんについて


 ずいぶん前に、詩人の まど・みちお さんの詩について書

きましたが、また少し書いてみたいと思います。


 まど さんの詩集はいくつか持っているのですが、私がく

りかえし目を通すのは、『いわずにおれない』(集英社be

文庫)という本です。

 まど さんの代表的な作品と、ご本人のインタビューをま

とめてあります。

 この本を読んでいると、私はしばしば泣いてしまいます。

 正直、感動してしまうのです。詩にも、まど さんの話に

も・・。


 まど さんが世界へ向けるまなざしの深さと、そこにある

「やさしさ」「愛おしみ」「驚愕」「不思議」「感謝」とい

ったものが、ダイレクトにこちらへ流れ込んでくる・・。

 「あ~っ。ほんとにそうだなぁ~・・・(涙)」

 知るべき事を知らずにいる自分。

 見てきたはずのものを見過ごしてきた自分。

 それに、気付かされる。

 しかも、平易で、美しくて、ユーモアにあふれることばに

よって。

 本当に、こういう人が居てくれたことに感謝を感じます。

 出会えたことを、幸運に思います。


 ケシ粒の中の精緻さと、宇宙の壮麗さに対する、愛しさと

畏怖と感謝があふれた心・・・。それは、本来、誰にでも備

わっているものなのだけれど。備えていていいものなのだけ

れど。気付いているべきものなのだけれど。でも、隠されて

しまう・・・。

 けれど、まど さんはある日、見てしまったのでしょう。

 世界の精緻さ、壮麗さ、美しさ・・。

 そして、気付いたのでしょう。

 自分の中の、喜びに震える心に。
 

 「世界の真実」は、そのまま、まど さんを死ぬまで離さ

なかった。そして、まど さんは真実を覗く窓を、開け放し

て去って行った。

 ほんとうに「ありがとう」と言いたいですね。


 無謀だけど、まど さん風の詩を、私も書いてみましょ

う。



 「 ふうりん 」



 かぜのなか ふうりんがうたっている


 かぜは じぶんでうたえないから

 ふうりんも じぶんでうたえないから


 かぜは ふうりんにうたってもらう

 ふうりんは かぜにうたわせてもらう
 

 わたしは きく

 ふうりんとかぜのハーモニーを

 せかいにきらめく おとを


 ききながら わたしはおもう

 「せかいは わたしに なにをうたわせたいのだろう」と

 「わたしのうたも きらめくのだろうか・・・」と




 出来が良いかどうかはともかく、まど さんの想いに寄せ

て書いてみました。

 まど さんの “想い” とは、

 〈世界の中でそれぞれが、それぞれの在り方で、それぞれ

でいることで、世界を、世界にしている。そして、自分もそ

の一員にしてもらえている〉

 その喜びだろうと思うのです。



 私の好きな まど さんの詩を、ひとつ挙げておわりにしま

す。


 「 さくら 」



 まいねんの ことだけれど

 また おもう


 いちどでも いい

 ほめてあげられたらなあ・・・と


 さくらの ことばで

 さくらに そのまんかいを・・・






 

 
  

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