2018年4月15日日曜日

付加価値を追い求めて・・・


 今回は「付加価値」について考えてみたいと思いますが、

何だってそういう話になるかというと、昨日 “〈アルマー

ニ〉のスーツ” という物に触れる機会があったわけです。

 私はブランド物には何の興味も無く、“〈アルマーニ〉の

スーツ” を実際に目の当たりにしたのは初めてだったもの

で、改めて「付加価値」なるものを考える気になったのでし

た。


 「付加価値」というと、まず思い浮かべるのがビジネスの

現場。

 商品やサービスを売り込む為に、いかにしてその「付加価

値」を高めるか? あらゆるビジネスがそこに焦点を当て

て、日々しのぎを削っている。

 けどね、「付加価値」などというものが存在するのだろう

か? いったい、何が「付加」されうるのか? 「付加」され

たものとは何か? 

 それは、単に「思い込み」です。

 「そういう事を、価値あることとする」という、人間間の

共通認識。約束事です。



 ブランドなどはまさしくそうで、「ブランドそのものに

“価値がある” ことにする」という “お約束” ですが、その様

なものだけではなく、一見実際的な価値があるように思える

ものでも、つまるところは “お約束” です。


 例えば、〈新幹線〉。

 「速い」「乗り心地が良い」などの「付加価値」があっ

て、その分料金が高いわけですね。「速い」「乗り心地が良

い」といった事は実際的な事ですが、でもなぜ「速い」事が

「付加価値」になるのでしょう? よくよく考えれば、そこ

には「速さ」と「付加価値」の確固たる相関はありません。

同様に、「乗り心地が良い」事が「付加価値」たり得る確固

たる理由も無い。

 どちらも「それを付加価値とする」というJRと、それを

承認した人との間に持たれる、 “約束事” だけの話ですね。


 最新技術だとか、最先端医療だとか、新薬だとか、耐震性

の高い住宅だとか、様々に「付加価値」を謳うものがありま

すが、どんなことであれ、それを承認するかどうかの話であ

って、絶対的な「付加価値」といものは存在しませんね。


 ここまでに挙げた事などは、江戸時代には無かった事です

が、だからといって江戸時代の人たちが「価値の低い」生活

をしていたかというと、そんなことはないですよね。「今と

は違う」というだけです。さらにいえば、縄文時代の生活は

どうだったかと考えても、やはり「今とは違う」だけで、乗

り物が無かろうが、医療が無かろうが、彼らは立派に生きて

来て、それゆえにこそ、私たちがいま存在しています。

 逆に「付加価値」ということで見ると、人間関係と高度管

理社会のストレスに晒されている “現代” と、自然の脅威に

対してのストレスは強くとも、人間関係と社会のストレスと

はあまり縁の無かったであろう “縄文時代” とでは、どちら

が「価値が高い」のか? どちらも一長一短、人の好き好き

でしょう。


 そんな風に、どの様な「付加価値」も絶対性を持っていな

い中で、あらゆる職業が「付加価値」を謳うことで仕事を進

めています。要するに、無理やり仕事を創っているわけです

ね。

 「右肩上がりで、進まなければならない!」という社会を

続けて来過ぎたので止めようが無くなって、「とにかく『付

加価値』!」、「何はともあれ『付加価値』!」という “付

加価値幻想” に取り囲まれて、それ以外の「価値判断が出

来ない・・。


 誰も彼もが「付加価値」ばかりに目を奪われて、「付加価

値」以外の “価値” というものの存在など、「存在」も知ら

ない・・・。


 そりゃぁね。「付加価値」も要るでしょうよ。

 生活して行く上での「安らぎ」や、人間としての「楽し

み」も必要ですよ。そんなもの何にも無しで、他の動物と同

じように生きて行くのなら、人間としてつまんない。とはい

え、「付加価値」を求める事に度が過ぎると、人間同士の 

“約束事” に取り込まれて、もっとつまんない事になる。実

際にもうなっている。

 「それが普通だ」と、疑わせないように仕向けられてるか

ら分からないだけで、ホントは酷くつまんない世の中だと思

うんだけど?

 「付加価値」なんて、子供がぐずらないようにする為の

“あめ玉” か “おしゃぶり” みたいな物ですよ。特に現代は。


 “約束事” の中で生きてる内に、“約束した覚えのない

〈死〉” がやって来て、“約束事” もろとも GEME OVER .

 ”約束事では無い〈生〉” は、生きられずに終わる・・。
 

 「付加価値」の後ろを覗いてみれば・・・。
 

 世界は無限に広い・・・・。




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