2018年12月30日日曜日

“状況” はどうだい?


 BUNP OF CHICKEN の名曲『ロストマン』は、「状況

はどうだい?」という歌詞で始まります。


 ここで使われている「状況」という言葉に、作者である

Fuji くんがどこまでの意味を込めているのかは分かりませ

んが、私にとっての「状況」という言葉は、ほとんど「世

界」または「宇宙」という言葉と同義です。



 「状況」というと、まわりの環境といった意味合いで使わ

れていると思いますが、私からすれば、自分の “状況” も含

めた、「世界全体のその時の在りよう」のことです。


 「背が高い。足が短い。肌が荒れている。風邪を引いてい

る。腰が痛い」というようなからだの状態や、「イライラす

る。ウキウキする。悩んでいる。腹が立っている。彼氏の事

を考えている」といった頭と心の状態も、自分の “状況” で

すね。

 世界との関わりの中で、自分の “状況” というものが決定

されてしまいますから、〈自分〉というものは、物理的にも

精神的にも世界の “状況” の一部です。この世界には、今、

この時の “状況” というものがあるだけであって、〈自分〉

というものは存在していません。ただ単に、わたしたちの思

考が、世界を〈自分〉と〈それを取り巻くもの〉に区別する

ので、〈自分〉というものが有るように思えるだけです。

 そうでしょ? 眠ってしまえば、〈自分〉も何もありませ

ん。〈自分〉は思考の産物です。


 さらに、わたしたちの周りにいる人たち(個人)は、わた

しの思考の産物です。

 そりゃあ確かに私の家族とか友達とか、好きな芸能人とい

うのは実在していますよ。その身体とか行動はね。

 でも、その名前とか、その人の性格とか、その人の経歴な

どといったパーソナルイメージというものは、周りの人たち

の思考に過ぎないのであって、その人自身に “実在” してい

るのではありません。〈自分〉とか、〈その人〉というの

は、わたしたちが社会生活を送る上での、便宜上の約束事と

いったものです。

 人間は社会生活を必要とする生物なので、どうしても〈自

分〉と〈自分以外の人〉を設定しがちです。


 わたしたちは普通、〈自分〉というものを、「世界の状況

の一部」だなんて思っていません。「世界の状況の中に〈自

分〉という独立した存在が置かれている」と思っています。

 でも、それが〈アタマ〉が起こす根本的な間違いで、そこ

からわたしたち人間のさまざまな苦悩が生まれます。


 わたしたちが〈世界〉と〈自分〉を区別するようになった

のは、わたしたち人間に「思考」というものが生まれたため

ですが、わたしたちが「思考」を持ってしまったのはわたし

たちの責任ではありません。気が付いたら「思考」していた

のですね。

 〈アタマ〉が悪さをして、わたしたちは苦悩し、数え切れ

ない問題を生み出すのですが、その〈アタマ〉はわたしたち

が望んで持ったものではありませんから、その点に関してだ

けはわたしたちは責任を持つ必要はないでしょう。「オレ、

知らないもん!」と鼻歌を歌っていたっていい。


 とはいえ、〈アタマ〉の悪さを放ったらかしにして、事故

(肉体的・精神的・社会的な)を起こせば、痛い目に合うこ

とに変わりはありませんから、注意は必要ですね。


 「世の中で何が起ろうが、自分が何をしでかそうが、わた

しの責任だけど、わたしの責任じゃない」

 というような態度が求められます。


 意味がわからない?


 わたしたちは “世界の状況” の一部です。

 〈自分〉というものは「有るように見えるだけ」のもので

す。

 「有るように見える」部分での責任はありますが、そもそ

もは「無い」のですから、「無いもの」に責任の持ちようも

ありません。だから「自分の責任だけど、自分の責任じゃな

い」ということです。


 よく分からない面倒なことを言っていますが、「ケース 

バイ ケースで機嫌良くやりましょう!」というようなこと

でしょう。


 「わけの分からないことを並べ立てて、結論がそれか

よ!」と思われたかもしれませんね。でも「世界と自分は

別」という認識でいるのと、「世界と自分は分れていない」

という認識でいるのとでは、「機嫌良くやる!」為の方法論

に違いが出ます。

 《 “状況” の中に〈自分〉が居るのではなく、〈自分〉も 

“状況” なのだ 》という前提は、おのずとわたしたちの考え

と行動を変えます。そして、その変化は「良いもの」だと私

は思っています。


 と、このような文章を読む “状況” に陥ってしまった〈あ

なた〉の、 「 “状況” はどうだい?」。




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