2018年12月2日日曜日

わたしの「世界征服」と『仮面ライダー』


 かつて私は “世界征服” を企んでいました。



 「誇大妄想」?

 いいえ。普通の人間だったということです。



 人は大抵 “世界征服” を企みます。

 人の望みの本質は、「すべてのものに自分を肯定してもら

いたい」という事だからです。

 「すべてのものに自分を肯定してもらう」為には、世界を

征服するしかありません。

 だから、人は大抵 “世界征服” を企んでいるのです。



 笑っちゃいますね。

 冗談ですよ。半分は・・・。



 あとの半分は、本気です。



 わたしたちは「隙あらば、世界征服!」と、無意識に思っ

ているのですよ。だから、自分に都合の悪いことに対して、

ほんのツマンナイ事でも文句ばっかり言っているのです。

 「ショッカーは、世界征服を企む “悪の秘密結社” 」(©

石ノ森章太郎)ですが、わたしたちのエゴも「世界征服を企

む」イカれた存在です。

 わたしたちひとりひとりのエゴが “イカれた存在” である

が故、それが集まると「世界征服を企む “悪の秘密結社”」

になるのですね。まぁ、中国やアメリカみたいに “秘密” じ

ゃなく、「世界征服」を企んでいるのがあからさまな集団も

ありますがね。


 「〈仮面ライダー〉本郷猛は改造人間である」


 本郷猛は、ショッカーによって改造されてしまったが、そ

の改造によって与えられた能力でショッカーと戦う。


 わたしたちは、エゴ(社会・思考)によって改造されてし

まったが、その与えられた能力で、エゴ(社会・思考)と戦

う。


 「〈仮面ライダー〉は、人間の自由と平和の為、ショッカ

ーと戦うのだ!」


 “わたしたちは、人間の自由と平和の為、エゴと戦うの

だ!”


 わけの分からないことを書いていますが、『仮面ライダ

ー』のコンセプトって、そういうアナロジーでもあると思う

んですよね。

 本来のコンセプトは、戦後、アメリカが仕掛けた “日本人

改造” への反抗でしょうが(実際に、改造された日本人はア

メリカのやり方を取り込み、経済成長してアメリカに対抗し

た。それにショッカーの紋章は、まるで白頭鷲ですから

ね)、原作者の石ノ森章太郎も気付かぬうちに、「エゴとの

戦い」のアナロジーとしての二重構造になっていると思う。


 アメリカという社会が、日本という社会を改造しようとし

たように、あらゆる社会がひとりひとりの人間を改造しよう

とします。そして、その改造  教化ですが  は人が生ま

れた瞬間から始まりますから、誰も抵抗できない。

 言葉を教えられ、言葉によって思考する事を覚えさせら

れ、その社会に溶け込むことを余儀なくされる・・。

 けれど、社会の改造はわたしたちの身体までは及ばないの

で、わたしたちは生きて行くうちに本能的な違和感や閉塞感

を感じる。「こんなにクタクタになるまで働かなければいけ

ないなんて、おかしい・・」なんて・・。


 そうして、人は自分を改造した社会に反抗し始める。

 その時に、社会が改造する為に与えた「言葉・思考」を使

うことになるわけです。


 それは果てしない戦いですし、「言葉・思考」はもともと

自分の中に無理矢理押し込まれた異物であり、両刃の剣で

す。下手をすれば自分を滅ぼしかねません。

 しかし、わたしたちは「言葉・思考」によって、社会と社

会から送り込まれたエゴと対峙するよりありません。


 戦いの果て、勝利する事はできるのでしょうか?


 お釈迦さんや達磨やキリストやソクラテスや老子などは勝

利したわけですね。

 自分に施された改造を解き、それを完全に自分のコントロ

ール下に置いたのです。

 「言葉」と「思考」によって、「言葉」と「思考」から

由になり、平安を得た


  “わたしたちは、人間の自由と平和の為にエゴと戦うの

だ!” というわけです。


 「言葉」と「思考」から自由になる。


 それが、わたしたちと仮面ライダーの目的ですね。

 間違っても “世界征服” じゃありません。

 “世界征服” を考えている人は、頭まで改造されてしまっ

ているのです。〈頭〉が、〈アタマ〉にね。



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