2017年12月6日水曜日

新長田 喫茶「ライカ」で


  Like a seagull.

 「かもめのように」


 私が高校生の頃、神戸の新長田に「seagull」という名の

ジーパン屋さんがありました。(ジーンズショップとは言わ

ない)

 今、ちょうど鉄人28号が立っているあたりでしたが、そ

の店の二階に「LIKE A(ライカ)」という喫茶店があっ

て、よく通っていました。


 カウンター席とテーブルが三つ。全部で13~5席ぐらい

の、小さな店でした。

 白い壁と天井の細長い店内には、天窓(があったと思う)

から優しい光が落ち、チョコレート色のテーブルと椅子、小

さなガラスの飾り棚があるだけの、シンプルで落ち着いた雰

囲気でした。

 オーナーは、たぶん当時28歳ぐらいのとても綺麗で落ち

着いた、「大人!」という感じの女性で、やさしい物腰の笑

顔が素敵な人で、高校生だった私が、はじめて「大人」を感

じた女性でしたね。ときめいたのではなく、憧れました。
 

 店内には、大抵 J.D サウザーやカーラ ボノフなどといっ

た AOR 系の曲が流れていて、その落ち着いた空間でコーヒ

ーやジュースを飲みながら過ごすのは、本当に気持ちが良か

った。(ミックスジュースがメチャメチャうまかった!)


 
 下に在るジーパン屋の名前と合わせると、「Like a 

seagull」となる様になっていて  ジーパン屋のオーナー

はご家族だったんでしょう  そのネーミングセンスとい

い、店の雰囲気といい、「なぜ、こんなハイセンスな店が長

田にあるんだろう?」と思いながら、足しげく通っていまし

た。(長田は下町なんです)

 あの店に通ったことは、いろいろな面で私のセンスに影響

を与えたと思います。


 と、そんなローカルで個人的な昔話を聞かされてもしょう

がないでしょうから、「Like a seagull」という今日のタイ

トルについて。
 

 以前、短い間ですが海のすぐ近くに住んでいた時期があっ

て、ある日、台風並みの非常に強い風が吹いていた時に、海

の様子を見に行った事がありました。

 瀬戸内海には珍しく、高い波が荒れまくる海をしばらく眺

めていたんですが、その時、東の方から一羽のカモメが飛ん

で来たのです。

 カモメは猛烈な西風の中を、まったく羽ばたくことなく、

翼の角度をほんの少し調整するだけで、かなりのスピードで

滑るように西へ飛んで行きました。

 その見事な飛翔にあっけにとられ、その姿が小さくなるま

で、カモメを見ていたんです。


 「自分で羽ばたかずとも、自分の在り様をほんの少し風に

合わせるだけで、逆風の中を労せず進んで行ける・・・」

 なんだか、重要な人生訓を教えられたような気がしまし

た。


 あれ以来、いろいろな困りごとがある時に、あのカモメを

思い出すことがあります。

 でも、思い出したところで、逆風に対して自分の翼の角度

をどう合わせたら良いのかが分からない・・・。

 ただ、「余計な力を出そうとすることは逆効果だろう」と

自分に言い聞かせながら、いつかあのカモメの様に、ムダな

作為はやめて、悠然と進んで行けるようになれたらなぁと思

うのです。


 「LIKE A」で過ごした時の様な、穏やかで落ち着いた自

分でいられるように、ムダなあがきをせず、あのカモメのよ

うに生きて行ければなぁ・・・。


 Like a seagull.


 生きてるうちに、そうなれる日は来るのだろうか?


 「そんな日が来なくったってかまわない」

 そんな力の抜き方が、必要なのかもしれません。




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