2024年3月31日日曜日

夢かうつつか



 三日前、ヤマザクラの花が咲いた。去年より一週間ほど遅

い。全国のソメイヨシノの開花も遅くて、トンガの火山噴火

の影響が出ているのかなと思う。

 天気予報では何も言わないけれど、フンガ・トンガ=フン

ガ・ハアパイ火山の噴火では成層圏に莫大な量の水蒸気が送

り込まれ、その影響で成層圏が冷えたため「偏西風の蛇行が

起きて、大きな気象の変化が起きる可能性がある」と、気象

学者が言っていたらしい。去年は日本では特に目立った変化

は感じられなかったけれど、今年はどうだろうか? 今年の夏

は猛暑か?冷夏か?まぁ「可能性」なので特に何もないかも

しれない。便利な言葉ですよ「可能性」というのは。どんな

予測・想定を語っても、「可能性」と言っておけば後でどの

ような結果でも言い逃れができるので、学者などは「可能

性」という言葉を頻繁に使う。

 このブログでは「可能性」という言葉はあまり使わないけ

れど、代わりに「・・・と思う」という表現をよく使う。断

定的に言わない為に。

 断定的に言えるような事柄について語っているわけではな

いので、言わないというより「言えない」というのが実情で

すけどね。

 そんなあやふやなことなら始めから黙っていれば良さそう

にも思うけれど、なにぶん自分の意志でやっていることでは

ないのでそういうわけにもいかない。まぁ、あやふやでも中

途半端でも、断定的ではないのがこのブログの良いところだ

と思う。

 誰もわけが分かって生きているわけじゃないんだから、断

定的でない方が、人の「生きるということ」に即しているの

ではないだろうか。


 話が変な方に行きそうなので、サクラの話に戻ることにし

よう。


 ヤマザクラは野生種で、花が咲き、実がなり、種ができ

る。我が家の横のヤマザクラも、鳥が運んできた(らしい)

種から育った。一方、ソメイヨシノは江戸時代に生まれた園

芸品種でオオシマザクラとエドヒガンという桜の雑種だとさ

れている。ソメイヨシノは一代雑種で種ができない。いま日

本中で見られるソメイヨシノは、すべて挿し木や取り木で増

やされたクローンで、あの花は “あだ花” だ。


 その “あだ花” にほとんどの日本人が目を奪われれる、この

頃はサクラ目当てに日本へ来る外国人も多いらしいけど、

開のサクラの、どこか現実離れした夢かうつつのような感じ

は、あの花が “あだ花” であるからかもしれない・・・という

気もする。


 夢かうつつのようなサクラの花と、わたしたちの日々の暮

らしと、どちらが “うつつ” か? そんなことも考えてみたり

する。


 “あだ花” であっても、ソメイヨシノの花は実際に咲いてい

る。けれど、人間のしていることの多くは、アタマの妄想

だ。

 「あいつ、あんなこと言わなくていいだろう😠」とか。

 「あの人、わたしに気があるみたい🥰」とか。

 「このビンテージジーンズ80万円だぜ😎」とか。


 人が自然に目を向けたときに、それを「夢かうつつ」の

ように時折感じるのは、実は逆なのかもしれない。

 普段、現実だと思っている自分たちの行いが妄想で成り立

っていることが、自然の美しさや大きさなどの強い実体感に

よって揺さぶられるのではないだろうか?

 満開のサクラに “夢うつつ” を感じているのではなくて、満

開のサクラを前にして、自分の想いが “夢うつつ” と感じられ

てしまうのではないか? だから時折「満開のサクラはなんだ

か怖い」という人がいるのだろう。


 何が「夢」か?

 何が「うつつ」か?


 サクラを見上げて、感じとってみるのも一興かもしれな

い。

















そういえば、霊雲(りょううん・れいうん)という禅僧は満

開の桃の花を見て悟ったのだった。それを〈霊雲観桃〉と言

う。




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