2020年12月20日日曜日

「ブラック社会」



  少し前のブログの中で「ブラック社会」という言葉を使っ

た。自分としては「あまりセンスの良くない言葉だなぁ」と

思うけど、ものを考える足掛かりとしてはいいだろうと思う

ので、今回は「ブラック社会」について考えてみる。

 「ブラック社会」とはどういうものか?

 「ブラック企業」が従業員を食い物にして繁栄するよう

に、「ブラック社会」はその社会の中の人々を食い物にして

栄える。

 「そいう社会はイヤだなぁ」と思われるかもしれないが、

社会というものは、程度の差こそあれ、おしなべてそういう

ものです。社会というものは。個人にとっては「ブラック」

な側面を持っているのが普通でしょう。とはいえ、その程度

が必要悪の範囲に収まっているのならいいのです。人という

ものは社会を作らずには生きて行けないものですからね。で

すが、自殺や殺人が多かったり、貧富の差が激しいなどとい

うのは、社会構造が多くの人を追い詰めているからそうなる

のだから、そのような社会は「ブラック社会」と言っていい

でしょうね。

 そういう目で世界の現状を見てみると、どうも世界は「ブ

ラック社会」が優勢のようです。グローバル化というやつで

しょう。


 人を食い物にする為の効果的な社会システムが構築された

ので、それは急速に世界に広まってしまった。このシステム

の優れたところは、旧来の社会システム自体を飲み込んでし

まって、その社会まるごとを利用できることにある。そのシ

ステムを働かせるのに最も重要なのが、人であれば誰もが持

っている、「不安」と「欲望」に火を点けること。そうすれ

ば、その火は人から人へ連鎖的に広がり、ちょっと促進剤を

投入してやれば、爆発的に拡大する。そうして人々は制御不

能に燃え上がり、そのエネルギーを社会に吸い取られる。そ

うして生きる力を吸い取られた人々は自殺したり、「不安」

や「欲望」に狂わされて人を殺したり、貧しさの中に喘いだ

りしている。でも、そのことに気付いている人は少ない。


 「良い人・悪い人」がいる。

 「能力の高い人・低い人」がいる。

 そういった人の違いが、社会の負の側面として現れると思

っている人が大多数ではないだろうかと思うが、私はそうは

思わない。

 もちろんそういった「人の違い」はある。けれど、「不

安」と「欲望」に火を点けられた人間は、その「違い」に付

け込んで、自分の「不安」を解消し「欲望」を満たそうとす

るが、「不安」と「欲望」に火を点けられていない人は、

「人の違い」をそのままにしておくことができる。社会の大

問題は、社会が人々の「不安」と「欲望」に火を点けるから

起こるのだ。


 「ブラック企業」からは、逃げ出すこともできる。

 けれども、グローバル化した「ブラック社会」からは逃げ

られない。せいぜい、どこかの片隅で小さくなっていること

ができるだけだが、それもいつまで続けられるか分からな

い。社会はすべての人間を取り込んで利用しようとするし、

利用価値がなければ、捨て置かれるか排除されることになっ

てしまう。


 私の言っていることは、能無しの負け惜しみかもしれな

い。能力があれば「ブラック社会」の中でも楽しく暮らせる

のだろう。けれども、それは多くの場合「ブラック社会」に

適応した「ブラック社会人」になることだろう。それはイヤ

なのだ・・・。



(しかし、「ブラック社会」とか「ブラック社会人」とか、

 センスの悪い言葉だな・・。でも、ま、いいか!)



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